日本語教師のとんとんです。もう、夏休みも終わりに近づいていますね。
夏休みになり、前回書いた記事のアクセスが急に増えました。
今日は、小学生の夏休みの絵日記の書き方について解説したいと思います。
私は普段、大学で作文やレポートの書き方を教えていますが、日本人の学生さんは口をそろえて、次のように言います。
小学生のわが子たちの作文を見ていると、大学生にも共通する問題点もあったりします。
ちなみに、小1の娘の絵日記の用紙は、このような形式になっていました。
上 イラストのスペース、
下 縦7字×横10字=70文字
小学校に入学して、まだ3か月。「はじめ・なか・おわり(序論・本論・結論)」などの段落についてや、作文の書き方について、習っていないようです。それなのに「さぁ宿題で絵日記を書いて!」と丸投げって……
◆ポイント1 文章には段落をつける
「はじめ・なか・おわり」の3段落構成が書きやすいのですが、縦7マスしかなく、文字数も少ないので、3回改行するとスペースが足りなくなります。
そこで、改行を2回だけにして、1段落は「はじめ」、2段落目に「なか」「おわり」の2つを書きます。
1段落 「はじめ(序論)」
2段落 「なか(本論)」と「おわり(結論)」
◆ポイント2 「はじめ」「なか」「おわり」に何を書くか先に決める
それぞれの段落の内容を先に考え、計画を立てます。
はじめ(序論):「どこで」「何をした」という状況説明
※「いつ」は日付欄がある時は省略可
なか(本論):「読む人(先生・友達・家族・未来の自分)」に
一番伝えたいこと
おわり(結論):「内容のまとめ」「感想」「将来への希望」
書きながら考えると、字数が足りなくなったり余ったりするので、書く前にざっと計画を立てておきます。
◆ポイント3 書くことが思い浮かばない時は、例を示す。
「おわり(結論)」の例には、次のようなものがあります。思いつかないお子さんには、「こんなのも書けるよ!」と例を沢山挙げてあげるといいと思います。
【「おわり(結論)」の文例】
・こんなに体をたくさん動かしたので気持ちよかったです。
・ずっと行きたかった場所なので、夢がかなって嬉しかったです。
・また時間があったら、いろいろな所へ出かけてみたいです。
例をいくつか聞くと、それを参考にして、オリジナルのアイディアを考えやすくなるようです。
◆ポイント4 「なか」は生き生きとしたエピソード中心に
読む人に伝わりやすくするため、また文字数も少ないので、インパクトのある生き生きとした内容だけを厳選して書きます。
娘は「海にいろいろな生き物がいて面白かった」と書きたかったようでした。しかし、書く力が未熟なせいで、文章が単純化されてしまっていました。
【書きたかったこと】
・海藻やクラゲのように見える生物(ウミシダ)がいた。
・ウミシダの足が切れていたので、痛いのではないかと心配になった。
・ウミシダは危険生物のように見えた。
・もしかしたら毒があるかもしれないと思ったのだけど、つい触ってしまった。
・でも、大丈夫だったので、危険生物ではないだろう。
なるべく伝えたいことが伝わりやすく書けるように、質問して考えを引き出してあげたり、良いアイディアを認めてあげたりするのが大切だと感じました。
放っておくと
ウミシダがいました。
だけで終わってしまいがちですよ~!しかも、心の中では情景が思い浮かんでいるので、なぜか、本人はそれを全部書いたつもりになっています。
ちなみに、これがウミシダです。
◆ポイント5 当たり前のことは省略
当たり前のことは、わざわざ書かないで、省略します。これは、日本人大学生の作文では見られないけれど、子どもにありがちです。
【書きたいこと】海に魚がいました。
書きたい気持ちは分かりますが、当たり前すぎますね……。
前に「ウニやヤドカリがいました」とあるので、当然、魚もいっぱいいるだろうと、読み手は想像できます。
「もっと、読む人に分かりやすく書いてね」というと次にように書き直しました。
【書いたこと】海できれいな青いねったい魚 を見つけました。
この魚、シリキルリスズメダイのようです。
少しは分かりやすく書けたでしょうか。
◆ポイント6 つながりを示す言葉を使う。
つながりを示す言葉というのは、このようなものです。
「1つ目は、2つ目は…」
「まず、つぎに、…、さいごに」
海に入るなり、私がナマコを捕まえたことが印象的だった様子の娘。
「まず、ナマコを見つけました」
と書きました。
読み手は「まず」が来ると、「次に」何が起こるのかと予測しながら読みます。でも、この作文では「次に」がなく、順序立てて示すことが出来ていませんでした。
これは大学生にもたまに見られる問題点です。
こんなときは、
と言ってあげましょう。
これが私が海に入ってすぐに見つけたナマコです。
こどもたちみんなの視線が釘付け!
近くにいた子ども達も集まって、みんな口々に「絵日記に書こう!」と写真を撮っていました。
(この記事は2017年8月17日の記事を大幅にリライトしたものです)